クレジットカードの返済方法の1つに、「リボ払い」というものがあります。
リボ払いを検討している人もいるでしょうが、メリットだけでなくリスクもあります。この記事では、リボ払いの概要と危険性、そしてメリットも紹介します。
目次
リボ払いの概要
まずは、リボ払いとはどんな返済方法かを解説しましょう。
リボ払いと分割払いの違い
リボ払いは分割払いの一種ですが、分割払いとは以下のような違いがあります。
- 分割払い…返済回数を事前に決めて、利用金額に応じて毎月の返済額が決まる
- リボ払い…毎月の返済額を事前に決めて、利用金額に応じて返済回数が決まる
リボ払いは、「利用金額にかかわらず毎月の返済額が基本的に一定の返済方法」と言えます。また、分割払いはカード利用ごとに返済回数を決められますが、リボ払いはカード利用ごとに毎月の返済額を決められません。
リボ払いにも違いがある
リボ払いにも、「残高スライド方式」と「固定方式」があり、それぞれ、以下のようなメリット、デメリットがあります。
残高スライド方式 | 固定方式 | |
---|---|---|
メリット | 固定方式よりも完済が早くなる | 利用残高が増えても毎月の返済額は不変 |
デメリット | 利用残高が増えると毎月の返済額が増える | 残高スライドより完済までが長い |
クレジットカードのショッピングリボ払いでは、固定方式を採用している会社が多いです。
リボ払いの危険性
「リボ払いは怖い」「リボ払いは損をする」というイメージがあります。確かに、リボ払いは1回払いとは異なるため、慣れないと以下のようなリスクがあります。
金利で損をする
1回払いとの最大の違いは、金利の有無です。1回払いを利用する分には金利が発生しませんが、リボ払いを利用すると金利が発生します。
主なカード会社でショッピングリボを利用すると、以下の金利が適用されます。
カード会社名 | 適用金利(実質年率) |
---|---|
三井住友カード | 15% |
楽天カード | 15% |
エポスカード | 15% |
JCBカード | 8.04~18% |
オリコカード | 10.2~15% |
ジャックスカード | 15% |
イオンカード | 15% |
どのカード会社も、出資法の上限金利である年20%未満に抑えています。
分割払いよりも金利が高い
実は、リボ払いの金利と分割払いの金利を比較すると、分割払いよりリボ払いの方が高金利です。三井住友カードの分割払いの金利は、以下のように設定されています。
返済回数 | 金利(実質年率) |
---|---|
3回 | 12% |
5回 | 13.25% |
6回 | 13.75% |
10回 | 14.25% |
12回 | 14.5% |
15回 | 14.75% |
18回 | 14.75% |
20回 | 14.75% |
24回 | 14.75% |
三井住友カードのショッピングリボ払いは毎月の返済額、返済回数にかかわらず年15%ですので、分割払いの方が低金利なことが分かります。特に、返済回数が少ないほどその差は顕著です。
限度額オーバーになりやすい
また、リボ払いを多用していると、ショッピング枠をオーバーする可能性が高くなります。設定されたショッピング枠を超えてしまうと、追加利用はもちろんできません。
リボ払いの枠はもともと少ない
クレジットカードの総利用枠は、ショッピング枠とキャッシング枠で共有しています。さらにショッピング枠は、リボ払いで利用可能な枠が定められています。
例えば、筆者が所有している「ライフカード」では、以下のように利用枠が設定されています。
利用可能枠 | 60万円 |
---|---|
キャッシング枠 | 10万円 |
ショッピング枠 | 60万円(うち、割賦払い枠30万円) |
割賦払い枠(分割払い、リボ払いなど)が30万円しかありません。リボ払いで30万円使ってしまったら、ショッピング枠が残り30万円あったとしても、返済するまでリボ払いは使えません。
リボ払いはショッピング枠に空きをなかなか作れない
先ほどの例ですと、30万円のリボ払い利用残高を返済すれば、割賦払い枠にも余裕が生まれ再利用できます。しかし、リボ払いは利用残高がなかなか減りません。
分割払いよりもリボ払いの方が高金利のため利息が多く、元金がなかなか減りません。毎月の返済を最小限に設定すると、利用残高の減るスピードはさらに遅くなり、割賦払い枠になかなか空きが生まれません。
融資の審査にマイナスに働くことも
クレジットカードのリボ払いを多用していると、融資の審査においてマイナスに働くこともあります。
「リボ天」は返済能力が乏しいと判断される
リボ払いを割賦払い枠いっぱいまで使っている状態を、俗に「リボ天井」、略して「リボ天」と呼びます。リボ天の状態で融資の申込をしても、審査担当者は「この人は返済能力に乏しい」と判断して、審査落ちの可能性があります。
リボ払いの利用状況は、信用情報(個人のお金の借入を記録する情報)を見れば一目瞭然です。特に、収入に占めるリボ払いの返済比率が高いと、審査担当者に「将来的に債務整理の可能性が高い」と判断されます。
金銭感覚が麻痺するという罠
リボ払いをあまりに使っていると、金銭感覚が麻痺します。
リボ払いは、利用残高にかかわらず毎月の返済額が一定(固定方式の場合)です。そのため、100万円利用していても毎月の返済額が3000円の場合、「3000円しか使っていない」という感覚に陥りやすいのです。
リボ払いにはメリットもある
ここまで、「怖い」「危険」「やばい」などデメリットばかり紹介してきたリボ払いですが、使い方さえ間違わなければ、メリットもあります。
カード会社にとって、リボ払い手数料は大きな収入源です。利益を増やそうと、カード会社はリボ払いに様々な優遇措置を行なっています。
ポイント還元率が高い
まず、リボ払いを利用すると、ポイント還元率がアップするカードもあります。例えば、「三井住友VISAクラシックカード」は、リボ払いでポイント還元率が2倍の1%になります。
リボ払い手数料を最小限に抑えることが重要
しかし、増えたポイントの価値以上にリボ払い手数料を支払っていては意味がありません。そこで、三井住友VISAクラシックカードの場合は、以下のような手順で手数料が発生する支払額を最小限に抑えましょう。
- 3万1000円分のリボ払い
- リボ払いの設定額を3万円に設定
- 初回は3万円の引き落とし(初回はリボ払い手数料無料)
- 2回目に1000円の引き落とし(リボ払い手数料13円)
- 31ポイント×2倍=62ポイント(310円相当)をゲット
1回払いでは31ポイントのみゲットとなりますので、「310円-13円-155円=142円」で142円分得をします。
1回目のリボ払い手数料は無料のカードが多い
リボ払いが可能なクレジットカードの多くは、2回目以降の返済でリボ払い手数料が発生します。つまり、1回目の返済ではリボ払い手数料が発生しません。
リボ払いを促進するお得なキャンペーンも
カードによっては、リボ払い専用のキャンペーンを実施しているので、要チェックです。
特に、お得なリボ払いキャンペーンを定期的に(ほぼ一年中)実施しているのが楽天カードです。
例えば、楽天カードでは2018年2月8日まで、「自動リボ払い設定の登録&ショッピング利用でもれなく2万ポイント」というキャンペーンを実施していました。条件は以下の通りです。
- 合計10万円以上のショッピング利用
- 2018年3月27日、4月27日の請求時点で、ショッピングリボの支払いコースが「3万円以下」
- 2018年5月1日まで自動リボ払いを登録し続ける
10万円のショッピング利用で2万円のポイントがもらえるわけですから、還元率にするとなんと最大20%です。
10万円をリボ払いで4か月かけて返済することになるので、利息の2,750円が取られますが、それでも還元率は17%を超えます。
50万円も使ってしまうとお得さが薄れますが、利用額をしっかり抑えれば間違いなくお得なキャンペーンです。
リボ払いには計画性が重要
リボ払いを利用していると、計画性に乏しいなどの理由で融資の審査を断られる可能性があります。利用枠はすぐになくなってしまいますし、もちろんリボ払い手数料は痛い出費です。
しかし、リボ払いにすると還元率が高くなったり、専用のキャンペーンに応募できたりするなど、デメリットばかりではありません。
リボ払いは計画性が肝心です。払えるときは繰上返済や一括返済をする、毎月の返済額を上手にコントロールするなどすれば、リボ払いのメリットを最大限に受けられるでしょう。
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