最近テレビCMでよく目にするデビットカード。日本ではまだ馴染みが薄いカードですが、何となくクレジットカードと同じように使えるものだと知っていても、具体的にどのような違いがあるのかをよく知らない人も多いのではないでしょうか。今回は、デビットカードとクレジットカードの違いをわかりやすく解説します。
目次
デビットカードとクレジットカードの主な違い
まずは、デビットカードとクレジットカードの主な違いを表にまとめましたので、ご覧ください。
デビットカード | クレジットカード | |
---|---|---|
支払い方法 | 即時払い | 後払い |
利用可能額 | 預金口座の残高 | 利用限度額の範囲内 |
支払い回数 | 1回払いのみ | 1回払い、2回払い、分割払い、リボ払い、ボーナス払い |
入会審査 | なし | あり |
入会資格年齢 | 15歳以上(中学生を除く) | 18歳以上(高校生を除く) |
キャッシング | 不可 | 可能 |
ポイント還元率 | 0~0.2%前後 | 0.5~1.0%前後 |
発行元 | 銀行 | クレジットカード会社 |
デビットカードは即時払い
デビットカードとクレジットカードのもっとも大きな違いは、クレジットカードが「後払い」に対して、デビットカードは「即時払い」という点です。
クレジットカードは、通常カード会社と契約を結び、商品を購入した際、カード会社が一時的に代金を立て替え、後で利用者に請求する後払いです。「締め日」と「支払日」が設定され、例えば、楽天カードの場合、毎月末日締め、翌月27日払いになります。つまり1日~末日の利用分を翌月27日に支払いますので、実際の支払いまで1ヵ月程度の猶予が発生します。
「クレジット」は「信用」を意味し、利用者に一定の信用が供与されているのです。カード会社が供与した信用の枠が利用限度額になり、その範囲内であれば、自由に使うことができます。
これに対して、デビットカードは、商品を購入すると、代金は預金口座からすぐに引き落とされる即時払いです。通常ならば、先にATMで現金を引き出し、そのお金で商品の代金を支払うわけですが、デビットカードを使うと、ATMから現金を引き出す手間が省かれ、預金口座から直接引き落とされます。
現金を持ち歩く必要がないキャッシュレスという点では、クレジットカードとまったく同じですが、口座から直接引き落とされるため利用可能額は、預金口座の残高に限られます。預金口座と直結しているため、デビットカードの発行元のほとんどが銀行です。
主なデビットカードとしては、次のものがあります。
三菱東京UFJ銀行が発行するデビットカード。VISAと提携しているため世界200以上の国と地域の加盟店で利用できます。年会費は、初年度は無料、翌年度以降1,080円(税込み)かかりますが、年間の利用額10万円以上で無料。毎月の利用額の0.2%が自動的にキャッシュバック。
楽天銀行が発行するデビットカード。VISAとJCB、いずれかの国際ブランドを選べます。年会費は、JCBが無料ですが、VISAは1,029円(税込み)。還元率は、VISAが0.2%に対して、JCBはクレジットカード並みの1.0%。断然JCBの方がお得です。
デビットカードは入会審査がない
一般的にクレジットカードを作る際、必ず入会審査があります。信用を前提とした後払いシステムをとるクレジットカードの場合、事前に支払い能力があるかどうかをチェックする必要があるからです。
デビットカードの場合、預金口座を持っていれば、入会審査はありません。預金口座の残高を超えて利用できないので、予め支払い能力を審査する必要がないからです。例えば、無職で支払い能力がなくても、デビットカードであれば、作ることができます。
入会資格年齢にも差があります。クレジットカードは、18歳以上(高校生を除く)でなければ作れませんが、デビットカードの場合は、預金口座を開設できる15歳以上(中学生を除く)であれば、作ることができます(ただし、銀行によって若干の差があります)。
デビットカードは分割払い、リボ払い、キャッシングができない
クレジットカードであれば、分割払いやリボ払い、ボーナス払いなど、支払い回数を自由に選ぶことができますが、デビットカードはできません。1回払いのみです。
現金の持ち合わせがないときに便利なのがキャッシングですが、クレジットカードのように信用を供与されていませんので、デビットカードは、キャッシングができません。
デビットカードのメリット
クレジットカードとは大きな違いがあるデビットカードですが、次のメリットがあります。
使いすぎの心配がない
デビットカードは、利用可能額が預金口座の残高に限られ、かつ即時払いのため、銀行に預金がないと使えません。後払いで利用限度額まで使えるクレジットカードのように、使いすぎたり、支払いが滞る心配は一切ありません。
クレジットカードでは、万一支払い遅延に陥った場合、個人の信用情報に傷がつき、将来的に悪影響を及ぼすリスクが高くなりますが、デビットカードは、そのような心配は無用です。
ATM営業時間外で利用しても手数料はかからない
キャッシュカードで現金を引き出す場合、ATMの営業時間外であれば、手数料がかかりますが、デビットカードを利用する場合、たとえ営業時間外であったとしても、手数料はかかりません。引き出す手間だけではなく、手数料も節約できます。
デビットカードのデメリット
デビットカードにはメリットだけではなく、残念ながらデメリットも少なからずあります。
ポイント還元率が低い
クレジットカードの場合、利用分に応じてポイントが付与されます。年会費無料のカードでも、0.5~1.0%前後のポイントを獲得できます。しかしデビットカードでは、ポイントが付与されるカードは少なく、付与されていても0.2%前後、クレジットカードに比べると、かなり還元率が低くなります。なお、前述した「楽天銀行デビットカード」は、JCB限定で還元率1.0%。デビットカードでは類を見ない高還元率です。
利用できる場面に制約がある
クレジットカードが当たり前に使える場面でも、デビットカードが使えない場合もあります。その例として次のものが挙げられます。
- 公共料金などの毎月発生する料金
- セルフタイプのガソリンスタンド
- 高速道路の通行料金
デビットカードは、定期的な支払いができません。クレジットカードでは、信用に基づいて定期的な支払いができますが、デビットカードでは、そのときだけ発生する一時的な支払いができるだけです。
さらにガソリンスタンドのセルフタイプの給油や高速道路の通行料金など、利用額が決まる前にカード情報を読み取るシステムを採用している場合も、デビットカードは利用できません。
利用できる店舗についても、かつての「J-Debit」タイプのデビットカードは加盟店が少なく、使いづらい面がありました。しかし最近は、VISAやMastercard、JCBなどの国際ブランドがついたデビットカードが主流になっていますので、これらの加盟店では、クレジットカードと同様に利用でき、利用範囲が広がっています。
郵貯や都銀のデビットカードは、24時間365日で利用できますが、発行銀行によっては、利用時間が定められていて、時間外は利用できないデビットカードもありますので、注意が必要です。
ネットショッピングでのキャンセル処理が煩雑
クレジットカードの場合、注文した時点では、支払いが完了していませんので、商品が発送されていなければ、キャンセル処理が容易にできます。
ところがデビットカードの場合、注文と同時に代金が口座から引き落とされますので、キャンセル処理が煩雑になり、実際に返金されるまでに時間がかかります。
不正利用された場合の補償に時間がかかる
盗難や紛失により不正利用の被害に遭った場合、クレジットカードでは、気づいた時点でカード会社に連絡してカードの利用を停止することができます。他方、デビットカードは、すぐに気づいたとしても、すでに口座からお金が引き落とされているケースが多くなります。
両者とも、カードに付帯する盗難保険が適用され、被害を補償してくれますが、デビットカードの場合、いったん引き落とされていることから、補償を受けるまで時間がかかることになります。さらに利用限度額を設定していない限り、預金残高の全額が利用可能になりますので、被害額が大きくなる可能性もあります。
使いすぎが心配な人はデビットカードを!
デビットカードは、使いすぎの心配がありませんので、クレジットカードではどうしても使いすぎてしまう人には、効果的なアイテムといえます。安定した収入がない人や18未満の人でクレジットカードを作ることができない場合も、クレジットカードに代わるカードとして利用するメリットがあります。キャッシュレスで買い物ができ、ネットショッピングなどでも利用できるからです。
しかしポイント還元率が低く、利用できる場面に制約があり、ネットショッピングでのキャンセルの煩雑さや不正利用された際のデメリットなど、クレジットカードと比べると魅力が乏しいことは否めません。すでにクレジットカードを活用している人にとっては、デビットカードの必要性は少ないのではないでしょうか。
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