「カードローンの審査に通らない」「クレカのキャッシング枠を使い切ってしまった」という人に、クレジットカード現金化は魅力的に映るでしょう。しかし、実際はその逆です。
この記事では、クレジットカード現金化の違法性とともに、リスクも徹底的に解説します。
目次
クレジットカード現金化とは
クレジットカード現金化とは、クレジットカードのショッピング枠を現金化することです。
クレジットカードには、買い物ができる「ショッピング枠」と現金を借入できる「キャッシング枠」があります。キャッシング枠の方が利便性は高いですが、設定されている利用枠が多くありません。
「現金を借りたいけどクレジットカードのキャッシング枠がない」「カードローンの審査になかなか通らない」、そんな人にクレジットカード現金化は利用されています。
クレジットカード現金化の流れ
クレジットカードを現金化するには、現金化をする業者を仲介する必要があります。最近主流となっている、インターネットを使った現金化(キャッシュバック型)の流れは、以下の通りです。
- 業者のサイトから現金化を申し込む
- クレジットカードの情報を入力する
- 業者が簡単なクレジットカードの審査をする
- 業者の手数料を差し引いた金額をキャッシュバック
カードによって現金化ができない場合がありますので、審査ではそれを見極めます。利用者本人の審査ではありません。
クレジットカード現金化は、法律違反ではないが利用規約違反
現在のところ、クレジットカード現金化を直接取り締まれる法律はありません。
クレジットカードを直接取り締まれる法律がない
以下のように関連法律はありますが、どれもクレジットカード現金化を犯罪行為とするまでには至りません。
法律 | 違法でない根拠 |
---|---|
景品表示法 | キャッシュバックは景品表示法の対象外 |
古物営業法 | 公安委員会から古物商許可を受け、許可番号を掲載し、本人確認をすれば問題なし |
出資法 | 商品価値と取引金額に極端な差がなければ、貸金業に該当せず |
2011年、警視庁が逮捕した貴金属販売業者は、おもちゃのネックレスをはるかに高額な金額で取引したことから「実質的には貸金業」と判断されました。しかし、このようなケースはかなりレアなケースです。
クレジットカード現金化はカード利用規約違反
法律違反ではないクレジットカード現金化ですが、カード会社の利用規約には明確に違反しています。例えば、三井住友カードの会員規約第23条(会員資格の取消)には、以下のように記載されています。
「1.当社は、会員が次のいずれかに該当した場合、その他当社において会員として不適格と認めた場合は、通知・催告等をせずに会員資格を取消すことができるものとします。(中略)(4)換金を目的とした商品購入の疑い等、会員のカードの利用状況が不適当または不審があると当社が判断した場合」
クレジットカード現金化は換金を目的とした商品購入の疑いが高いため、ばれればカード利用の一時停止にとどまらず、予告なしに解約されてしまう可能性が高いのです。
クレジットカード現金化のリスク
お金がほしい時、クレジットカード現金化に頼りたくなりますが、クレジットカード現金化には以下のようなリスクがあります。
手数料が高い
クレジットカード現金化業者の収入源は、利用者から徴収する手数料です。
クレジットカード決済をすると、加盟店はカード会社に手数料(1%~5%)を支払う必要があります。これは、クレジットカード現金化業者も例外ではありませんので、手数料込のキャッシュバック率は95%以下でないと、業者の儲けが出ません。
中には、「還元率最高98%」という高還元を売りにしている業者もありますが、この場合、後から各種手数料が発生するケースが多いです。振込手数料、送料、消費税など、様々な名目で差し引かれます。
カードの強制解約→ブラックリスト入り
クレジットカード現金化がばれれば、カードが強制解約される可能性が高いです。それだけにとどまらず、信用情報(個人のお金の借入を記録した情報)に「事故情報」(ブラックリスト)として登録されてしまいます。
事故情報として登録されると、新規のカード発行やローン契約はほぼ不可能です。しかも、強制解約から5年間は事故情報が残り続けますので、5年間はクレジットカードを作れません。
残債の一括返済を求められる
クレジットカードが強制解約となると、クレジットカードの残債をカード会社から一括請求されます。これは、現金化で利用した分だけでなく、通常利用したリボ払いや、キャッシングも含まれます。
自己破産ができない
借金で首が回らなくなった際の最後の手段といえば、借金を帳消しにできる「自己破産」です。
ただし、破産法第252条「免責不許可事由」に該当する借金をすると、自己破産ができません。免責不許可事由のうち、クレジットカード現金化は「信用取引で購入した商品を安く売却した」に該当します。
犯罪に巻き込まれる可能性も
クレジットカード現金化の際には、本人確認書類やクレジットカードの画像提出を求められます。提出した画像を悪用されて、勝手にクレジットカードを使われたり、身に覚えのない契約を結ばれていたりするリスクがあります。
また、キャッシュバック率95%と聞いていたのに、実際には様々な手数料が引かれて60%分しか振り込まれていなかった、という可能性もあります。振り込まれていればまだましで、中には1円も振り込まれないのにクレジットカードの返済はしなければならない、そんな悪質業者もいます。
国民生活センターへの相談件数・トラブルが増えているため、消費者庁にも2010年に「ストップ!クレジットカード現金化」キャンペーンを実施していました。
クレジットカード現金化は絶対にNG!
お金がない時、ついクレジットカード現金化が魅力的に思えてしまいます。違法ではありませんが、かなりグレーな取引です。
手数料が高く、返済に苦しみます。クレジットカードの方も、よくて利用一時停止、最悪の場合は強制解約となり、残債は一括での返済を求められます。
借金で苦しくて自己破産したくても、現金化に手を出すと自己破産も認められません。犯罪に巻き込まれるリスクもあるので、クレジットカード現金化は絶対に利用しないでください。
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